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心の傷害と緊急避難

 パワハラや嫌がらせといった攻撃に対する反応は、猛獣に遭遇した時同様、逃走か闘争です。草食獣は、肉食獣の気配を察知すると、猛スピードで逃れようとします。 ところが、平穏時の人間関係では、これができません。留まり、攻撃を受け続ける、といった日常がありがちです。 危機的ストレス「惨事ストレス」を受け続けると、心身に深刻なダメージを受けます。 精神面では、尋常じゃない意識状態(毎日続く嫌がらせに、これは...

妄想と脳

 一般的に、妄想は「被害妄想」がほとんどです。「自分の料理にだけ、毒が入っている。」「周囲の人が、攻撃しようとしている」「道であった人が、ひそひそ話をしている。自分の悪口を言われている。」といった、根拠のない思い込みを修正できません。怖くて恐ろしく、自分の身の安全が脅かされる、そういう精神世界に住んでいるのです。 これは、危険を素早く察知する扁桃体の働きを、妥当性を吟味する前頭葉が制御できなくなっ...

恐怖に暴走する脳

 ある日突然、交流のない近隣の住人から得体のしれない嫌がらせを受ける。しかも、来る日も来る日も繰り返され、次第にエスカレートする。このような、いやがうえにも強烈なストレスを感じるとき、脳内では何が起きているのでしょうか。 最初に起きるのは、視床下部、下垂体、副腎皮質系の反応です。副腎皮質から、副腎皮質ホルモンが放出します。負傷などの非常事態に備えるのです。同時に、交感神経の興奮が起きます。闘争か逃...

TSD 急性ストレス障害

 心的外傷体験を思い出すのは恐ろしいので、思い出させる場所や人を避けようとします。趣味や仕事に没頭して、なるべく気を紛らわせるように努力します。 一方で、常に警戒している状態(過覚醒)になっています。不穏な動きがないか、加害者の動向を常にうかがっています。不安が払拭できず、神経は過敏で、加害者から自分の気配を消すように、息をひそめて生活しています。リラックスできず、心も体も疲れ切っています。...

急性ストレス障害

 思いもかけない突然の恐怖を伴う出来事を体験すると、心身ともに、様々な反応が起きます。突発的な事件が起きた直後、それに耐えた体に起きる症状には、次のようなものがあります。●毎日続く頭痛●胃の痛み 食欲不振 吐き気 味覚障害(食べ物の味が解らない 美味しくない)下痢●動悸 不眠 ●数日にわたる微熱●手の震え●眩暈(何時間も続く 繰り返す)●疲労 倦怠感 眠気...

フリーズする人

 対人トラブルに遭遇した時、勝気な人は闘争を選びます。相手に抗議し、対決し、何らかの結論を得ようとします。敵わないと見て取った人は、さっと距離を開けて、逃走を図ります。そのどちらをも選べない人が、フリーズしてしまうのです。 抗議する勇気はないけれど、引き下がるのは悔しい、間違っているのは相手だという正義感、気の強さから、戦う力もないのに戦場に留まってしまうのです。この人の過去には、すぐに逃げ出さな...

妄想性障害の成り立ち

 妄想性パーソナリティ障害の人は、他者を信用できません。いつも、他者が自分を欺こうとしているのではないかと考え、身構えています。不安感や恐怖心が暴走している状態といえます。 脳の機能状態から考えると、恐怖を感じる偏桃体などの機能が亢進し、冷静な判断力をつかさどる前頭葉の制御が及ばなくなっている状態です。 心理面から考えると、暗闇の中を一人で手探りで歩いている状態に似ています。不安な暗闇も、同行する...

ADHDと依存症

 依存症は、ベースに発達障害があることが分かってきています。ADHDの特徴を持っている人は、モノアミンの一つ、ドーパミンが少なく、それを活性化する刺激を、自らに与えようとするかのようです。 無意識のうちに、行動し続けることや、何かに依存することで、脳内報酬系の活性が高まるのです。ですから、やめようと思っても、その刺激から得られる充足感から、やめられなくなってしまい、依存症という状態に陥ってしまいま...

虐待と脳

 人生の早期に、恐怖や苦痛を与えられる体験が、脳の成長、機能に様々な影響を及ぼすことが解ってきています。幼少期に、親からどう育てられたかによって、一生引きずるトラウマになるのです。 不適切な養育、関わり方は、マルトリートメントと呼ばれています。事件化するのは義理の父が多いように感じますが、そこまで至らないマルトリートメントは、実母が最も多いと言われています。実母と言えども、子供と相性が合わないこと...

反応性愛着障害

 反応性愛着障害は、不適切な子どもの環境によって生じます。心理的虐待や無視、身体的な虐待やネグレクトです。子どもは、泣くことによって身体的欲求を満たしてもらいますが、いつも無視され放置されること、また、繰り返し故意に身体を傷つけられること、充分な栄養をもらえないこと、などが長期にわたる子供が、人と接する際に目を合わせない、抱かれても視線を逸らす、近づいてきたかと思うと逃げていくといった不安定な行動...

許せない人を許すために

 人を許すのは、容易ではありません。「許してあげなさいよ」という隣人も、あなたの立ち位置に立てば、許せないと感じることでしょう。 その「加害者」を許せないと感じているとき、人は、同時に自分自身も許していません。あの出来事を回避できなかった、その能力がなかった、あの人があんな人だとは気付かなかった、世間知らずだった。まるで、人生という白い紙に落ちた大きな黒いシミのように、忌まわしいものだと感じていま...

ストレスと脳障害

 ストレスにさらされていると、人は喜びを感じられません。普段の思慮深さを失い、パニックになって、衝動的に行動してしまう……といったことも起こります。 強いストレスを受けると、情動、本能をつかさどる扁桃体が過剰に活動し、冷静な認知と判断をつかさどる前頭前野が機能しません。生き延びるために、とっさに闘争や逃走をするためのシステムです。 日常の人間関係のストレスでは、闘争も逃走もできません。そして、ストレ...

統合失調症 周囲が気付く症状

 統合失調症は、脳が様々な情報を統合し、処理することが難しくなる病気です。そのため、本人には病識がなく、周囲が気付くことが多いものです。 とはいえ、周囲が症状について詳しくなければ、その奇妙な言動は理解しがたく、対応に悩まされることとなってしまいます。周囲が本人に代わって病識を持ち、治療につなげることがたいせつだといわれています。...

被毒妄想-根拠なき恐怖

 被毒妄想は、被害妄想の中の一つです。出された自分の食べ物に毒が入っているのではないか、という強い思い込みに囚われ、家族と食卓を囲めなくなります。一人でこっそり、スーパーで買い求めた食品を食べるようになります。 家族が作った手料理に、毒が盛られていると考えているにもかからわず、家族やパートナーが毒を盛ったと疑っているわけではありません。どこの誰が、どのような理由から、どんな種類の毒をどういう手段で...

統合失調症の知覚障害

 知覚とは、感覚器官を通して、外界を捉える働きです。統合失調症では、この知覚にも異常をきたします。 嗅覚の異常では、幻嗅が生じます。実際には何の匂いもしないのに、妙な匂いがすると感じます。被害妄想が基底にありますから、この部屋の空気はおかしい、毒を撒かれているという発想になります。被害妄想と幻嗅は、互いに強化し合っているのです。 また、味覚にも異常を生じます。変な味がするという感覚異常が、食べ物に...