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抑うつに陥った脳

 鬱病は発症原因に遺伝子因子と環境因子が複雑に絡み合っているため、症状や治療の効果が、人それぞれといえます。
 最近のPETスキャンによる研究では、海馬のセロトニン受容体の減少が報告されています。海馬は記憶の中枢であるとともに、ストレスをコントロールするところでもあります。ですから、記憶力の低下や、家族との関係にも影響を及ぼします。

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楽しいという感情の喪失は、セロトニン受容体とともに、体内オピオイド受容体の数も減ってしまうためと考えられています。この、報酬回路を刺激する分子の減少によって、ストレスホルモンであるコルチゾルが増加します。
 抑うつ状態のときは普段よりもストレスに敏感ですが、それは、この血中に増加したコルチゾルと関係がありそうです。 また、抗鬱剤の効果には個人差がありますが、前部帯状回のミューオピオイド受容体の数が少ないと、抗鬱剤の効果が乏しいという実験データもあります。
 前部帯状回は感情を処理し、一つの関心から他の関心へと関心事を移行させていく部位です。
 ここがスムーズに機能していないと、イヤな出来事がいつまでも離れない、繰り返しその記憶を再上演してしまう、フラッシュバックが起きる、などの辛い状態に陥ります。
 さながら地震が時計を止めるように、衝撃的な出来事が時を止めてしまうのです。
 朝目覚めると同時に「その出来事」が蘇り、道を歩いていても、無意識のうちに「その出来事」の事を考え、夜ベッドに入っては、その映像を思い浮かべ....一瞬たりとも忘れられません。
 これでは、日常のほかの事柄に注意を向ける余裕など、全くありません。苦しいので忘れたいと願い、あれこれ努力をするのですが、さび付いた前部帯状回が、容赦なく惨劇を上演します。
 こういった状態に陥ると、人はとかく無力感を感じて、自らを叱咤激励してしまいがちです。ああしなければいけない、こうであらねばならないと、無理強いし、ますます辛い環境に身を置いたり、そうしたくない本音との間で葛藤を起こしたりします。楽しくなく不安なのですから、当然行動は抑制されます。
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