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複雑性PTSD

 心的外傷後ストレス障害は、生命を脅かすような事件、事故の結果起きると定義されています。PTSDの診断基準には、災害、戦闘体験、犯罪被害など、強い恐怖感を伴う体験があることが、必要条件となっています。
  一方、自尊心を傷つけるような出来事の蓄積の結果として起こるPTSDは複雑性PTSDと呼ばれます 心的外傷ストレスの症候は、1つの重大な出来事ではなく小さな出来事の蓄積からも発生するのです。 機能不全家庭における児童虐待、言葉による心理的虐待、両親のドメスティックバイオレンスの目撃者となり続ける、学校内における長期間に及ぶいじめ。職場内のパワーハラスメント。
 DSM-IVにおけるPTSD概念は、ベトナム戦争帰還兵等の戦争や災害による精神的な後遺症をもとに生み出されたものですが、日常の中でのネガティブな経験の積み重ねも、大きなダメージをもたらします。これが複雑性PTSDです。
 心的外傷を経験する人は、その状況に対処できません。本人の力の不足、周囲からの援助の不足等により、無力感が学習されていくこととなります。
 家庭や学校といった密室、あるいは閉鎖された社会の中で起きる心理的暴力は、しばしば抑止力を欠いて、その環境の中で、日常化していきます。
 そして、繰り返された心理的ハラスメントは、しばしば多年にわたる、複雑性PTSDの症候を生みます。

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 その症候の一つが「反応性うつ病」です。これといった理由もないのに、気持が落ち込み、おっくう感にとらわれる「 内因性うつ病」に対し、原因がはっきりしています。そして、その原因を取り去らない限り、薬を飲んでも症状が緩和されないこともあります。
 不眠、悪夢、フラッシュバック、惨いシーンの記憶を何度も蘇らせては反芻するといった特徴があり、何年経ってもその心理的ハラスメントを受けた場所(学校、職場、会場など)を迂回する場合もあります。
 心が過去の不幸な人間関係に囚われているので、他者への信頼感が乏しくなることもあるでしょう。
他の人間関係からも距離を置いてしまうということが、起こりがちです。そして、多くの人間関係から 引きこもってしまうと、今度は孤独感に苦しむこととなります。
 そんな中で、ネガティブな世界観が形成されていくかもしれません。
「人は私に利用価値を見出すと近づいてくるが、それがなくなると離れていく。」
「他人は私を傷つける存在だ。」
すると、ますます他者を避けることに安心を見出すようになっていきます。どれほど孤独でも、もう、あのような屈辱的な状況下に身を置きたくはないと考えるのです。
 朝、目覚めると、ひどい疲れを覚え、「もう人生に疲れ果ててしまった」と感じます。なんとか日常の中に喜びを見出そうと勤め、自分を慰め励ますのですが、些細な出来事にいらだち、激昂しやすくなります。決して口には出しませんが、心的外傷をもたらした加害者の不幸を、内心願っています。
そうしたシーンを空想することもあります。そのことに対して、罪悪感を抱いたり、自己嫌悪に陥ると、自分で自分を害してしまい、回復を遅らせてしまいます。
 こうして他者の暴力の余韻で打ちのめされてしまった魂は、喜びや楽しさを感じることがありません。もう何年も笑ったことがないと、ある日気付くことがあります。それでも、愛想笑いはできても、心から楽しくて笑いがこぼれることはありません。
  複雑性PTSDの多くの人にとって、社会生活は停止し、他者の中で揉まれながら切磋琢磨し、仕事をしていくだけの力はありません。それでも、生計を立てる必要性から、独立してできる仕事を求め、必死に取り組むこととなります。
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テーマ: 不安定な心 | ジャンル: 心と身体
カテゴリ: 抑うつ

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