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複雑性心的外傷-その加害者

 なぜ、言葉や態度といった直接的に身体を傷つけない攻撃が、それほど人の心に傷を残すのかといえば、脅迫、圧力、阻害といった相手の態度が、それに屈してしまう自分への劣等感を深めてしまうからでしょう。支配的な加害者は、被害者の有能感を打ち砕いてしまうのです。しかも、自尊心の低下した被害者は、この状況を作った、あるいは抵抗できなかった責任が自分にあると考えるようになってしまいます。

 加害者は被害者の傷心を前にしても、謝罪はしません。相手を害してしまっているという事実に傷つくからでしょう。その事実を受け入れられない加害者は、自己弁護に奔走します。この時、社会に受け入れられる加害の正当性を主張することを欠かしません。この加害者の「正常性」という武器が、さらに被害者の心的外傷を深めます。
 加害者側は巧妙に大衆の常識、道徳観、価値観に訴えかけます。被害者が心的外傷を起こす事例の根底には、この加害者のマジョリティという権威があります。これによって、被害者は「世間は彼らの味方だ。私の味方は誰もいない。」という孤立感、絶望感を味わいます。


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 心的外傷の加害者は、権威的で支配的であるだけでなく、優れた社会感覚を持っているといえます。したがって、法に触れるようなことはめったにしません。
 自らの横暴な権力の行使が、いかに他者の精神を破壊しようと、それが正義の施行だと賞賛されることを期待しているのです。彼は日ごろの常識的な振舞い方によって、実にうまくカモフラージュしています。このように遠目に「立派」に見える人物が、その立派さによって、身近な対象に心的外傷を与えていると疑う人は少ないでしょう。
  ドメスティックバイオレンス、職場でのパワーハラスメント、権力を持つ当事者が社会規範を味方につけて行っている点では共通しているといえるかもしれません。
 問題は、彼らの目から見て正しくない、あるいは何かが足りない相手への暴力が正当化されることです。「相手が「○○」だから「××」という制裁を加えるのは当然 」というのが彼らの言い分です。
 被害者の価値観や信念は、加害者と彼らを取り囲む多数派によって否定されます。加害者は正義を語りますが、その正義とは、「加害者の利得」に他なりません。被害者は、加害者の利権を危うくするものとして、彼らから裁かれるのです。
 心的外傷が引き起こされるとき、被害者の心中にあるのは、「正義とは強者の欲望にとって都合のいいものに過ぎない」という醒めた思いと、彼らが受け入れられ、自分が拒絶される絶望感、そして、そんな彼らに出会ってしまった、このような事態を招くかかわりかたをしてしまった自分への自責の念です。
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テーマ: 壊れそうな心 | ジャンル: 心と身体
カテゴリ: 抑うつ

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