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失恋というもの

 あの頃は若くて、その人の存在だけが、ただただ好きでした。傍にいることだけが、この世に生きる幸せのすべてでした。
 ですが、その人には多くの異性の影があり、それだけに必死に傍に行こうとしている私を、その人は、他の女性と一緒に、ヒソヒソ話をしながら振り向いて笑い、
「押しのけても押しのけても寄ってくる」
その唇に浮かぶ薄笑いが、私の心臓を一撃しました。
 助手席は彼女のために空けておくといわれ、幸せそうなふたりの姿を目の当たりに見るのが辛く、二人と顔を合わせるすべての場所から身を引いた後、生きている意味も見出せず、毎日泣き続け、身も心もボロボロになりながら、ただただ、必死に仕事をしながら時をやり過ごしました。
 あれから6年の時が過ぎ、彼だけが魅力的なただひとりの異性ではないと知り、もう、今では彼を愛してすらいないのだと思うこの時も、あの辛さ、悲しみ、絶望感は、多くの記憶を飲み込んだ忘却の海から浮上して、未だに私を捉えています。
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テーマ: うつと恋愛 | ジャンル: 心と身体
カテゴリ: 失恋の処方箋

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