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失恋を取り巻く激情

 大切な異性が、他の誰かのもとに去っていく、自分から離れていくという、望ましくない展開を迎えた時、わたしたちの心は、さながら疾風に吹き飛ばされそうな木の葉のようです。
 別れを切り出す側にとっては、それは清算であり、新しく選んだ相手に示す誠実ですから、終わった恋を忘れるための努力などは不要でしょう。別れの後には新しい充実した幸福な暮らしが約束されています。当然、離別の痛みは伴いません。感情的に優位にあります。
 選んだパートナーと連れ立って、満面の笑みを浮かべるその相手は、別れを告げられた側には、不誠実で冷たい人間だと映ります。それは致し方ないことです。
 相手を束縛せず、その幸せを祈るのが愛、などといっても、長期的にはともかく当面は殆ど不可能でしょう。
 その人を取り巻く二人の女性(男性)、そのうちの一人は彼(彼女)の心も体も、彼と過ごす未来も、彼のすべてを手に入れる。一方、もうひとりは、毎日暗い部屋でたった独り、帰ってこない人を想い、泣きながら過ごしている。この圧倒的な不平等。不均衡。これは、相手の幸せを祈れない、その最大の理由といえます。

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 しかも、その人を巡る駆け引きの中で、相手の女性から度重なる陰湿な攻撃を受け続けていたような場合、彼ゆえに耐えていたその当の彼が、こともあろうにその女性のもとに去ってしまったからには、いやがうえにもパートナーを奪った相手を恨みに思います。当の彼の狡さなど忘れてしまうほど、奪って行ってしまった恋敵への恨みは激しいものとなってしまいがちです。
 「もうわたしの魂は死んでしまった。魂は死んでいるのに身体だけは生きている。いっそ身体も殺してくれればいいのに。」
 身体に手をかけられていない以上、その女性は罰せられることなく、幸福と快楽の人生を約束されているのですから。その幸せを奪うことはできないのですから。
「他の誰かにとられるくらいなら、いっそ彼を殺して私も死のう。」
そうも思うことでしょう。

 理不尽だと感じる失恋をした後に、相手の不幸を願う激しい衝動が湧き起こるのは、多かれ少なかれ誰でも経験する可能性のあることです。信じていた相手が、他の誰かと寄り添い、こちらを振り返る眼差しに、ウザったいと言いたげな嘲笑が浮かんでいた。みっともない存在になってしまったという自尊心の痛みは、恋が冷めた後も残ります。
 苦しくなるほどの激しい恋慕のときめきが消えた後に、今はもう他人となったその人を思うと、鳥肌だつような嫌悪の情を感じるのは、この自尊心の疼きが絡み付いているからでしょう。
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テーマ: 愛のかたち | ジャンル: 恋愛
カテゴリ: 失恋の処方箋

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