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部下をつぶす上司

 従業員の入れ替わりの激しい職場には、何らかの問題があります。動労条件としてはまずまずなのに、なぜか社員が短期間でやめていく職場、部下が次々と心を病んでいく職場は、その職場自体が病んでいるといえます。
 弱小企業や小さな事務所では、経営者の資質が、その職場環境に色濃く反映します。パワーハラスメントの中でも、ねちねちうじうじと、陰湿に何時間も部下を責め続ける上司のもとには、部下は長くは留まれません。 
 
事例
 事務員2名を使っている税理事務所経営のA氏55歳
 小さいころから勉強一筋で交友関係は乏しく、税理士になることが夢だったが、何度受験しても不合格となり、ついに資格を取得することは諦めてしまったが、税理士事務所を持つことは諦めきれず、資格のある税理士と共同経営という形を取り、事務所を開いた。
 毎日、朝から晩まで黙々と机に向かい、顧客の評判はいいのだが、従業員の些細なミスを、仕事の手を動かしながら、ねちねちと2時間も非難し続ける。
 A氏は早朝からすでに机に向かっているので、出勤してきた従業員は、われ関せずで仕事を続けるA氏に気兼ねしながらA氏の机の周りを掃除していたが、さすがにそろばんをはじいている机の上は拭けないでいると、A氏はすっくと立ち上がり、自分の机の上だけをさっさと拭いた。見かけによらずまめな人かもしれないと従業員が思っていると、A氏のねちねち攻撃が始まった。
「あんた、親は農家かね?」
違うと答えると、「てっきり、農家だと思ったがね。農業なら教養がないから子供のしつけもできとらんで当然だが。あんたの親は子供に掃除の仕方一つ、満足に教えとらん。
 私が自分で机の上を拭かなならんとは、どういうことかね。掃除ひとつ満足にできんのかね、いい年をして。」
 実年齢55歳だが見た目65歳程度のA氏は、こうして新卒女子社員をいびることを日課としていた。
 事務所には終始沈黙が流れ、社員同士雑談をすることもない。傍にA氏がいるのでは私語の一つも言えないのである。A氏から雑談を始めることはもちろんない。話しかけるときは、尋問である。
息が詰まるような沈黙の中で、A氏は突然立ち上がり、演説を始める癖があった。内容は、息子にはマンションを買ってやった、家賃収入が得られるようにしている、娘には.....といった毎回同じ内容の自慢話である。若い社員二人はどう扱っていいかわからず、黙々と仕事を続けるばかりである。目線を合わせたり、相槌を打ったり、こちらから応答するわけではない。それでも、A氏は気が済むまでしゃべり続け、しゃべりつくしたら、また仕事の続きに取り掛かる。A氏の事務所では、半年以上続けられる社員はまれだった。

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A氏にはコミュニケーション能力が、徹底して欠けています。社員に話しかけない、笑顔もむけない、話しかけると尋問になる。これでは息が詰まります。
 仕事の依頼(机の上を拭いて)もできません。「もう年なんだから(成人しているから)」当然やってくれると期待しています。相手がしないことを、悪意に解釈します。仕事を中断させては悪いと、気を使ってくれているとは考えないのです。
 A氏には、自分の人生がもうやり直せない域に来てしまっていることへの深い失意と劣等感があります。本人の持ち味の良さをさりげなくほめて、宥める対応がよいのでしょうが、新卒社員にそうした難しい仕事は酷といえるでしょう。若い従業員が、自分は仕事のできない劣った人間だと認識してしまう危険性の方がはるかに高いのです。相手が親よりも上の年代であると、若い社員はどうしても自分の能力や資質を疑ってしまいがちになります。そこで、限界に達して辞表を出す以外にも、なんとか上司の期待に添い、気にいられようと媚びたり、無理を重ねて心身に不調をきたすこともあるでしょう。
 攻撃性は退行現象ですから、自分の未熟さのゆえに攻撃されるのではなく、相手の未熟さのゆえに叩ける相手を叩いてくるのだと考える方が楽になります。相手の攻撃で自尊心を潰さないように、守ることが先決です。
 そして、他の人間関係、横の人間関係を良いものにして、孤立して戦う状況を招かないように心がけたいものです。
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