Sponsored Link

不毛な恋 ②

「女のために金を使うのなんて、もったいない。ラーメン一杯だって、おごりたくないんだ。金は自分のために使いたいんだ。」
 そう言い放つ芳樹に、香奈は怒りを禁じえません。使ったお金の額なら、私の方が多いじゃない!!そう言い返したいのに、芳樹の爬虫類のように冷たい目が怖くて、まともに顔を見ることもできません。芳樹はキレると形相が変わるのです。これはDVだ!!と香奈は思いました。
 芳樹が香奈に要求するものは、家事サービスと、少額のお金でした。
「コーヒー飲みたいけど、財布忘れちゃって。」
といった具合に。
「その額は、だんだん大きくなるよ。」
と友人の莉子からは忠告されています。香奈は、うなづきました。確かにそうかもしれません。

Sponsored Link

初めて芳樹とデートした時、香奈は幸せな気分でいっぱいでした。この人とは相性がいいと感じました。ところが、数か月過ぎるころには、芳樹は結婚を口にして香奈を求める一方で、満足すると一転してクールになり、言葉づかいも、心なしか他人行儀。懸命に話しかけても、会話も続かず、何を考えているのか、物憂げな様子に、香奈の不安は募ります。
 遊ばれてる.......!? 芳樹と会った日は、帰宅すると泣いてばかりです。家事労働で、身体も疲れています。文句の一つも言いたくなります。でも、それを言ってしまったら、きっとやわな芳樹は受け止めきれない。それっきり終わってしまうような予感がしています。
 それでも、ある日、ついに香奈の不満は小さな亀裂から溢れました。もうイヤ!!と叫んでしまったのです。芳樹からは、電光石火のような激怒が返ってきました。デートの待ち合わせ場所に現れず、こんな裏切り方をされるのかとショックで眠れずにいた香奈に、「別れよう」と彼は告げたのです。
 約束をすっぽかしたのは君の態度のせいだ、わたしに反抗するなんて、人格を疑う。というのが、芳樹の言い分でした。彼の中で、従順で何でも意のままになるという、香奈のイメージが揺らいだのでした。
 香奈も、これまで堪えていた芳樹の態度への悲しみを、口にしました。今度、家族にちゃんと紹介するといったけど、そのつもりはあるの?本当に結婚を考えているの?
 芳樹の口からは、予想通りのことばが返ってきました。
 「君はほんとに結婚なんか、考えてるのか!冗談だろ、そんなことは言ってない!」
                      次回に続きます
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する