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過去からの卒業

 わたしたちの過去には、無数の傷跡があります。中には、今も痛みを放っている傷もあるでしょう。
「あの人だけは、死ぬまで許せない。いえ、死んでも許せない。永遠に許せない。」そんなふうに、憎むしかできない苦しさを、今も抱えているかもしれません。その人は、それだけの痛手をあなたに与えたことでしょう。
 それは、心変わりして、他の異性の元に去っていった恋人かもしれません。自分を守るために、追ってくるあなたを、虫でも払うかのように振り払った人。ふたりの幸せで満ち足りた姿を、絶望と孤独の中で眺めるしかなかった痛み。
 あるいは、親としての務めを果たせない父親かもしれません。家庭を安心できない不穏なものと変えただけでなく、年端のいかない子供にまで依存するような親だったかもしれません。
 職場の上司や同僚、知人かもしれません。相手がいら立つたびに、あなたは八つ当たりに戦々恐々としていたのかもしれません。それとも、密かにあなたを陥れようと画策する危険な相手だったのかもしれません。
 それに対して、何もできなかった。一矢報いることはできなかった。ただ、理不尽な仕打ちを受け入れるしかなかった。相手を許せないとき、わたしたちは甘んじるしかなかった自分の不甲斐なさを許していません。他の誰かだったら、もっと毅然とスマートに対処できていたはず。自分が未熟だったから、不器用だからと、責め続けています。自分を陥れたり傷つけたその相手が、他の人たちの間で認められ、幸福にしている姿を観ると、ますます理不尽さを感じることでしょう。

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ですが、過ちはうまく対処できなかった自分の中にだけあるのではありません。傍に居る誰かを傷つけずにはいられなかった、その時点で相手の人生も順調ではなかったことでしょう。機能不全に陥った脳のために、周囲を危険に満ちたものと判断し、危険ではない相手を攻撃して、自分を守ろうと必死だったのかもしれません。あるいは、溺れる者の壮絶な形相で、必死にあなたにしがみついてきたのかもしれません。あなたを水に沈めてしまうほどの勢いで。
 あなたが思うほど強くもなく、あなたがの目に映るほど、幸せを感じていたわけでもなかったのかもしれません。
 あなたに理解不能な言動を取る人は、あなたとは異なる脳の機能状態を持ち、あなたとは異なる人生経験を積んできたことでしょう。自分の恋人、自分の子供、楽しい仲間になれたはずの同僚、そうした対象に温もりを与えられず、相手から怒りや憎しみを買ってしまったその人は、あなたの心をいつまでも縛り、苦しめる価値のない人であることは確かです。
 その人はその人で、これからも人生の課題に直面していくことでしょう。あなたも先に進みましょう。その辛い経験から学んだことを糧に
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カテゴリ: 認知と癒し

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