Sponsored Link

フラッシュバック-過去の再演

 事故や災害など、生命にかかわるような恐怖体験に遭遇した時の記憶が、それを連想させるような視覚情報や聴覚情報に接した時、不意に生々しく蘇る。その映像のひらめきが、フラッシュバックと呼ばれています。
 恐怖体験ばかりではありません。過去の出来事、虐めや虐待、失恋など、理不尽な辛い経験が、あの日あの時のワンシーン、さながら映画を見るように思い出され、同時に当時経験した悲しみや怒りが、再び湧き上がってきます。
 すでに遠い過去の出来事、相手はもう、すでにここにはいない、もう二度とあんな態度を取られることもない、そのはずなのに......。

 深く情動を揺さぶった出来事ほど、強く海馬に記憶されます。留めておく必要があると、脳は判断するのです。おそらくは、未来に待っているかもしれないの同類の危機に対処するための情報として。
 一刻も早く忘れたい、時が過ぎるほどに徐々に薄まっていく記憶、そう思っていたにもかかわらず、たびたび蘇ってくる忌まわしい記憶。
 信じていた相手から思いもかけず裏切られ、拒絶された一瞬、その時の相手の表情、声のトーン、その時の部屋の様子や周囲の状景まで、映画を見ているかのような映像として再現されます。そうして再演するたびに、忘れがたい記憶としてさらに脳裏に深く刻むことになります。
 忘れたいのに、意思に反して繰り返し思い出してしまう、フラッシュバックは当事者を苦しめます。

Sponsored Link

思い出すのは、たいてい日常の中で嫌な出来事に遭遇した時、不快な情動が喚起された時です。その時、過去の同類の情動、怒り、憎悪、悲しみを感じた出来事が、封じ込めた箱の鍵を解かれたかのように、飛び出してくるのです。蘇った記憶は、色あせた遠い過去ではなく、今しがたの出来事であるかのようにリアルです。その体験した日時は遠く過ぎ去っても、その時味わった情動は、その時の味のままに封印されていたのです。フラッシュバックは、いまだ癒されていない痛みなのです。
 すると、二度と同様の出来事を経験しない生き方を選択する傾向も、現れるかもしれません。二度と惨めな失恋はしたくないので恋には臆病になる、傷つきたくないので人に心を開かず、不信感を抱くようになる、上司からのハラスメントを危惧して、イエスマンになったり、迎合的な接し方をしたり。
 もう一度同様な出来事に出会ったら、「あの頃のようなマネをしない」確かな自分を自覚するまで、フラッシュバックは、過去という箱の中で活き活きと潜み続けているのかもしれません。
スポンサーサイト
カテゴリ: 失恋の処方箋

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する