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対人関係能力と被害妄想

 統合失調症周辺の人たちには、「被害妄想」的訴えがよく見られます。中にはSF小説のような荒唐無稽なものもありますが、多くの場合は「周囲の人から嫌われている」「自分だけが理由もないのに悪意を持たれている」といった被害感、疎外感が多いようです。
 子どもの頃から、協調性に欠けていたり、集団のルールを守れなかったり、といった理由で、集団に馴染みにくく、集団からも受け入れてもらえず、ともすればいじめの対象になった、等の経験の積み重ねが背後にあるのかもしれません。本音至上主義の子供社会では、ちょっと浮きがちな子供は無視されたり排除されてしまう傾向が強いのです。
 そうした経験を積み重ねてしまうと、その子の自尊心や自己評価は低下してしまいます。さらに、対社会認識は、「他者は自分を傷つける存在」という恐れや不信感に満ちたものになってしまいます。自分を受け入れてくれない他者集団に対して、恐れと同時に敵意を持つようになってしまうのも無理からぬことかもしれません。被害妄想の背景には、その人の成育史が隠されていると考える方が自然と言えそうです。

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さらに、いじめは子供社会に限ったことではありません。大人社会においても、対人関係の不器用な人はモラハラ、パワハラのターゲットに選ばれてしまうことも珍しくありません。自分と異なる、自分には理解しがたい言動を取る他者を、人は基本的に退ける傾向があります。そうした本質を持つ多様な人の群れの中で、他者と協調しつつも自己主張していく道は、誰にとっても熟練を要する道のりと言えそうです。ましてや、思考と感情の統合に不具合の生じる発達障害の人にとってはなおのこと、それは厳しい道のりであることでしょう。
 「周囲の人がみんな、一致団結して自分を攻撃、排除しようとしている。」といった妄想は、何よりも本人を苦しめます。同じ、根拠のない妄想なら、憧れの芸能人と恋人になるといった楽しい空想をすればいいのに、何故、そうした忌まわしい発想をするのだろうとだれしも訝るかもしれません。過去をベースにした、恐れと不信の投影がそこにあるのです。
 傷ついた過去を持つ人に同情の念を抱く人も、周囲にはいることでしょう。差し伸べようとする手を阻むのは、過去の例を今に投影していまう妄想です。ひどい失恋をした、どうせ男なんて、女なんて、みんな...。といった失恋時の心理に似ているかもしれません。だからといって、過度の一般化をして、失恋相手以外の異性に、否定的、好戦的な態度をとっていては同情もされにくいことでしょう。被害妄想は、過去の対人関係の苦痛から発する、現在の対人関係への過剰防衛とも言えるかもしれません。前頭前野の分別機能が低下しているために、その恐怖と不信へのブレーキが作動しなくなっているのです。
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カテゴリ: 妄想性人格障害

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