Sponsored Link

頑張らない心

 およそ、私たちの悩みは、今ここにピンで貼り付けられているようなものかもしれません。ここしかない、この人しかいない、そんな思いにとらわれて、苦しくても頑張ったりします。それだけに、明日、「もういいですよ、去ってくれてもいいですよ。」なんて言われたら、裏切られたような心境になりかねません。

 恋しい人が、冷たい視線しか投げかけてくれなくなった時、もう人生が終わったと感じるかもしれません。一生涯、消え去ることのない痛手に違いないと思うことでしょう。
 10年20年30年...時が過ぎたら、あれほど傷ついた場面を、もしかしたら覚えていないかもしれません。その人のいない世界で、その人がいなくとも、それなりに幸せに生きているかもしれません。あの日あの時の物語も、色あせた古い映画の断片のようです。

 久々に再会したその人は、年月の風化にさらされて、もうかつての甘い風貌を、どこにも留めていないかもしれません。そして、自分の中にも、かつての切ない情念が消え失せていることを発見するかもしれません。

 人も物も風景も、移り変わっていきます。かつて現実だと信じていたものは、今ではもう遠い夢です。その記憶すらなくしてしまったら、現実とはいったいなんでしょう。あの時、あれほど、頑張ってきたのに、跡形もないなんて。



Sponsored Link

 明日が見えないから、先のことを確かなものにしたくて、人は頑張るのでしょう。相手の心に、周りの人たちの評価に、ゆるぎない自分の存在を築きたくて、安心したくて。明日が見えないと、心から楽しめないから。そして、時に、裏切られた、利用されただけと悲しむのです。自分の心の明日さえ、知らない私たちなのに。

 昨日、あの人に言われた言葉に、落ち込むわたしたち。もう付き合わない方がいいのかもと悩んだり。ところが、明日、笑顔で気楽に誘われたら、まんざら捨てたものでもないかと考え直します。
 ふわふわとその日の気分で揺れる心を自らも持ちながら、なぜ相手のその一言に釘を刺してしまいがちなのでしょう。傷ついた、許せないと騒いでしまうのでしょう。明日の幸せのために、頑張りすぎてきたからでしょうか。

 思い出が苦しいものばかりだったら、振り返った時、苦しい人生になってしまいます。苦しいことも大変なこともいろいろあるけれど、できれば楽しい記憶を呼び起こしたいものです。
 明日も、人の心も見えません。だからこそ、確かなものにしたいと頑張るよりも、わからないことを楽しんでみるのもいいかもしれません
スポンサーサイト
カテゴリ: 失恋の処方箋

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する