Sponsored Link

発達障害と社会化

 多くの発達障害は、胎児期の異常、分娩障害など、周産期の終わりまでに生じており、それ以降に進行することはなく、機能欠損が残るものと考えられています。運動や知覚、言語、認知、社会適応など、脳がつかさどる多くの機能にその影響が現れます。
  乳幼児期までに診断されるとは限らず、成人後も周囲も本人も気づかずにいる場合も少なくありません。発達障害の概念の歴史自体、それほど古いものではないのです。
 
 また、生来の障害ばかりでなく、成長期の劣悪な環境が、コミュニケーション能力や社会に対する認知に大きな影響を与えていることも、知られています。周囲からのネグレクトや虐待は、人間とは自分にとって危険な生き物であるという認識を育て、隔離された環境で他者と触れ合うことなく育つと、コミュニケーションの取り方が学べません。
 子供は、保護者への依存や愛着を持つものですが、許容されないと不信感を抱き、心にも傷を負います。日常化してしまうと、その保護者への怒りが定着してしまうことも珍しくないことでしょう。

 他者と協調することで得られる喜びを知らずにいると、自分にとって不都合な周囲のルールを無視しがちになるかもしれません。周囲もまた、付き合い辛さを感じるのでその人と距離を置いてしまいます。すると、本人も辛いので、また自分の殻にひきこもり、ともすれば悪循環に陥りがちです。



Sponsored Link

 自分と関わりのない他者集団に不幸が起きても、人は身内の不幸のようには哀憐の念が湧きません。自分を疎外して仲間はずれにする集団ならば、なおのこと。天罰が下ったように錯覚して、気分が晴れるかもしれません。
 周囲から隔絶された自分という認識が固定していると、家族や他人に迷惑や被害を与えても、相手の都合や心情を思いやることができません。その結果、孤立してしまっている状況に、なぜか自分はいつもこうだと、被害意識を感じているかもしれません。
 ですが、生得的な脳障害と違い、生育環境に原因がある場合には、自立する年齢に達した時、回復や成長への促進が起きやすいものです。環境の変化や、助けとなる人材が現れるといった外からの変化がなくとも、内側から、周囲に適応していこうとする試みが見られるようになります。巣の中のヒナが、ある日一気に大空に舞い上がる、そうした成長の力に後押しされるかのように。
 劣悪な環境から学んだ社会への認知を捨ててまで、今置かれた社会に適応を図ろうとします。脳の成長が完成期を迎える二十歳前後には、それほどまでに、今、ここに適応していこうとする社会化の力が働きます。
 胎児期の発達障害、分娩障害などを原因とする、いわゆる発達障害は、この自立の時期に、飛べない小鳥として周囲に気付かれることが少なくありません。
スポンサーサイト
カテゴリ: 脳と精神

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する