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直観力と繊細さ

 初対面の人なのに、わけもなく嫌な予感を抱いたり、どんな人なのか知らないにもかかわらず、親密感を抱いてしまったり、直観は私たちに瞬時の決断をさせてしまいます。その判断材料はどこから?と、問われても、答えるに足りる資料はありません。なんとなく、なのです。

 情報を統合して吟味する大脳の前頭前野を通さずして、判断が下されているのです。最近の脳科学で、この直観には大脳基底核の尾状核が関わっていることが解ってきたようです。
 過去の膨大な記憶は、忘却の彼方に消失したわけではなく、意識下に保管されて、同類の危機に遭遇した時、瞬時の判断を促します。
 目や耳から入った情報が、尾状核の一部へ直接つながる神経回路が下す判断に、理性の前頭前野は困惑して、早まるな、根拠は?と問いかけますが、直観は的を得ることが多いものです。
 スポーツや仕事の熟練による直観も、わけもなく胸騒ぎのする霊感的な感覚も、微細な情報を瞬時に統合する複雑な脳機能に由るものといえるでしょう。

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 論理的な思考をする大脳新皮質は、この直観を非論理的だと退けてしまうことがあります。初対面の人、よく知らない人に、なぜ嫌悪感を覚えてしまうのか、失礼じゃないかと脇へ追いやってしまいます。ですが、直観は、その相手の鋭い眼光を一瞥したその瞬間に、これから起きる困難な物語を予見していたといえるかもしれません。
 恋は一目ぼれで始まることも多々あります。相手の人間性や感性が自分にフィットすると、一瞬にして知ってしまったのでしょうか。逆に、初対面でいやな印象を受けた相手とは、うまくいかないことも多いものです。

 情報蓄積量の多い年配者の方が、若い人たちよりも直観力に優れているという見方もできるかもしれません。ですが、それよりも、外界に対する感受性の強さに因るところが大きいように思います。五感が繊細な人の方が、大雑把な人よりも、他者の感情や真意に敏感です。他の人が見逃しがちな、わずかな異変にもいち早く気づくことでしょう。風の匂いに敏感な、草食動物の感性を持っているといえるかもしれません。
 
 それは優れた能力なのですが、相手かまわず自己主張する人たちがリードしていく社会では、ともすれば生きづらさを感じがちです。私たちの日常の平穏は、周囲の人たちの自分に向けられた不満や憤りを、相手が制御していることによって成り立っている部分もあるのです。直観力の優れた人は、これにも気づいてしまいます。そこで傷ついてしまい、距離をとることによって、平穏を保とうとする傾向があります。
 ともすれば鈍感で果敢な人たちの武勇伝が闊歩する社会で、直観力をもたらす繊細さは、評価されにくいかもしれません。ですが、事件が起きてから大騒ぎする人たちの中で、その人はこう言うことでしょう。こうなることは、以前から解っていたと。
 風の匂いを嗅ぐウサギのように、人の心の雰囲気を察知し、危険な兆候を見逃さない、直観からの応えを、根拠がないと退けず、わたしたちはもっとたいせつに扱いたいものです。
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テーマ: 人生を豊かに生きる | ジャンル: 心と身体
カテゴリ: 脳と精神

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