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モラルハラスメントの力学

 入社したての新入社員が、上司や先輩から理不尽な扱いを受ける、ありがちなことです。すると、新入社員は、何がいけないのか、自分の中に問題を探そうとします。他の人と比べて仕事に遅れはない、ミスをしているわけでもない。一つ一つ可能性を消去していくと、仕事以外の何らかの事柄が、相手の攻撃性に火を付けているようだと、なんとなく気付きます。
 理由はよく解らないが嫌われているようだと知ると、相手の顔色が気になり、受け入れられたいとばかりに、ご機嫌をとろうとする傾向に傾く人もいるでしょう。相手にガツンと言い返せない自分の性格を責めて、ますます劣等感を抱くこともありがちです。

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 自分ばかりに原因を探していると、相手が見えてきません。立場の弱い相手に絡み、陰湿なハラスメントを繰り返す人の動機は、「劣等感」です。現時点での立ち位置がどうあろうと、その人は「自分は落伍者である」といった自己イメージを持っています。ですから、他人の欠点を指摘して、引きずりおろさずにはいられません。その一方で、聞いてもいない人に向けて、たらたらと自分の長所や小さな成功体験をアピールします。そうした自分の見苦しさに気付けないほど、心病んでいます。
 
 こうした理由から、相手に好かれることによって、自分に向けられる暴力をやめてもらおうと、ご機嫌を取ったり、素直に従ったところで、苛めやすい格下の存在止まりです。これまでの人生の不毛さに対する激しい怒りや恨みを、何の関係もない弱い立場の相手に向けて炸裂させねばならないほど病んだ人の心に添うのは容易ではありません。その人の性格傾向や過去の人生経験の受け入れ、母のような大きな愛で、その人の痛みに手を添えられる人だけに、成し遂げられる仕事なのでしょう。

 そのような大きな愛に出会えた時に、その人も徐々に人との絆の紡ぎ方を学び直すかもしれません。ハラスメントを受けたくないために、相手に従順でいるのではなく、加害者の痛みを知り、その心に寄り添うことによって、相手の落ちている不毛な人生観から相手を救出するのです。これは、精神的に、その人よりも成熟した人にのみ、可能な仕事といえそうです。
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