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虐待と脳

 成長期に虐待を受けた影響は、その後の人格形成に様々な問題をもたらします。ことばによる暴力、
侮辱や非難、貶め、脅し、卑しめる、嘲笑、など等。こうした暴言を連日浴び続け、加えて、疎外されるなど、救いの手がどこからも差し伸べられないような場合、子供にとって生きているこの日常が地獄のように辛いものとなります。
 そうした子供時代を過ごした人たちの脳を調べてみると、聴覚野を構成している領域に傷があることがわかってきました。弓状束という、上側頭回と前頭前皮質を接続して、音声情報をこの2領域で転送していると考えられる場所があり、成長期の心理的虐待で、この弓状束を構成している神経線維の軸索の数が減ってくるという所見も出て来ました。話す機能に問題はないにもかかわらず、すぐに言葉が出てこないのです。
 成人してからのうつ病、依存症、嫌な光景が繰り返しフラッシュバックとなってよみがえる心的外傷後ストレス障害(PTSD)、境界性人格障害なども、児童期の環境によって引き起こされることが想像されます。

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また、虐待経験者は、加害者への怒り、恥辱感、自分自身への過小評価を抱えていることが少なくありません。行動面では過剰な警戒感、人類への根源的な不信感、打ち込まれたボールを瞬時に打ち返すような会話ができず寡黙、自分の感情に気付きにくく頑張りすぎる失感情症、などの傾向が見られます。
 大量のストレス・ホルモンが脳の発育を阻害させることが、わかってきています。成長期の虐待ストレスによって、扁桃体が興奮しやすく、しかも一度興奮すると鎮まりにくい傾向が強く、そうした体験がまた、脳にダメージがを与えてしまいます。
 ですが、希望があります。児童期の影響が生涯続くわけではないのです。新たな経験を積み重ねることによって、人間の本質を理解してくるにしたがって、日常の中から、心理的に軌道修正してゆくことが可能なのです。そしてまた、脳にも可塑性があることが最近の研究で明らかになっています。
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カテゴリ: 脳と精神

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